2013/05/31|
シチリア「サンタ・テレザ」の社内試飲会
オーガニックワイン「プラート」や、無添加&オーガニックワイン「インシエメ」でおなじみ、シチリアの「サンタ・テレザ」の社内試飲会を行いました。
ワインの説明をして下さったマークスさん。サンタ・テレザのワインのマーケティングを担当している方です。
写真からも分かる通り、大変陽気でいい人です。このシャツを着こなせる日本人は多分いないだろうなと思ったのは内緒です。(どう頑張ってもヤンキーかチンピラ風になりそう・・・)
本日のワインは以下の9種類。
① プラート オーガニック カタラット&ピノ・グリージョ
② リナ・イアンカ グリッリョ&ヴィオニエ
③ 【年内発売予定】 プラート オーガニック ネロ・ダヴォラ ロゼ
④ プラート オーガニック ネロ・ダヴォラ
⑤ インシエメ ネロ・ダヴォラ
⑥ 【日本未入荷】 フラッパート
⑦ チェラスオーロ・デ・ヴィットーリア クラシコ オーガニック
⑧ 【日本未入荷】 ニヴロ
⑨ 【日本未入荷】 アヴルージ
① プラート オーガニック カタラット&ピノ・グリージョ
プラートはオーガニックワインですが、元々「オーガニックワインを造ろう」と思って造ったのではないそうです。「美味しくてコストパフォーマンスが良いものを造ろう」というのが出発点で、オーガニックにすることは後から考えられたそうです。オーガニック云々よりも、プラートはその味わいの良さをお褒め頂くことが多いのも頷けます。
品種は、シチリアの固有品種「カタラット」と、国際品種「ピノ・グリージョ」のブレンド。カタラットは白い花の香りや柑橘系の果実香があり、フレッシュな味わいが特徴で、ワインにはその特徴が良く表れています。
② リナ・イアンカ グリッリョ&ヴィオニエ
リナ・イアンカとは「白い砂」という意味。サンタ・テレザの土壌はほとんどが赤土なのですが、このリナ・イアンカの区画だけは白い砂になっているのでそう名付けられたそうです。
品種は、シチリアの固有品種の「グリッリョ」と国際品種「ヴィオニエ」のブレンド。トロピカルフルーツやマンゴー、ピーチなどの香り。グリッリョがフレッシュな酸、ヴィオニエがアロマやストラクチャーをワインに与えています。当初は現在よりヴィオニエの比率が高かったそうですが、そうするとやや重たい印象になってしまうようで、現在はグリッリョの比率を上げて、フレッシュな酸味が楽しめるスタイルにしているとのこと。
ちなみにグリッリョの2割は、⑨のアヴルージ(サンタ・テレザの最上級赤ワイン)に使う予定のフレンチオークの新樽で熟成されます。こうすることで、樽をアヴルージにとって最適な状態にしているということです。
合う料理は、シーフード、パスタ、お寿司など。
③ 【年内発売予定】 プラート オーガニック ネロ・ダヴォラ ロゼ
つい先日、採用が決まったワインです。イタリアのロゼワインは色が濃いものが多いですが、このロゼはまるでフランスのプロヴァンスのロゼのように美しい色合い。この色合いを出すために大変苦労したそうです。
ストロベリーやサクランボなどの赤い果実の香り。フレッシュな酸があって、余韻にほんのり甘味が残ります。
合う料理はバーベキューやグリルした肉料理、照り焼きなど。「ヨーロッパではロゼワインはアウトドアで楽しまれることが多い」そう。今度試してみます。
④ プラート オーガニック ネロ・ダヴォラ
ラズベリーやストロベリーなどを思わせる、ジャミーな赤い果実香。口当たりはとてもソフトで、タンニンはおだやか。きれいな酸味が余韻に残ります。ストロベリージュースのような甘酸っぱさがあり、ライトで親しみやすい味わい。
⑤ インシエメ ネロ・ダヴォラ
酸化防止剤無添加のオーガニックワインです。インシエメとはtogether(=一緒)という意味で、南アフリカのステラという会社と共同でこのワインを造ったことから、この名前になったそうです。
インシエメを造ることになった経緯ですが、このステラからワインを仕入れていたイギリスのサンタ・テレザのインポーターが、ステラがしょっちゅう欠品をするので困ってしまい、サンタ・テレザに「無添加ワイン作れない?」と聞いてきたのが始まりだったそうです。
どうやって無添加で造っているの?とよく聞かれますが、その答えは「徹底的に酸化のリスクを避ける」ことです。具体的には次のようなことが行われています。
・ 100%熟した葡萄を収穫
・ 完璧に健康な葡萄を収穫
・ 収穫した葡萄を素早くワイナリーへ運ぶ
・ 涼しいうちに収穫し、朝10時以降は収穫しない
・ 葡萄は完璧に管理するため、100%自社の畑のものを使う
・ 発酵が早い酵母を使う
・ ステンレスタンク内に不活性窒素を入れる
酸化防止剤無添加のワインの中には加熱処理を行っているものもあるようですが、このワインはもちろん加熱処理はしていません。
ジャミーな赤い果実香、コンポートの香り。凝縮感があり、ピュアな果実味が感じられます。微かに発泡したニュアンスがあったので聞いてみたところ、フレッシュ感をキープするためボトリング前に空のボトルにCO2を充填させているそうで、それがワイン中に残っているのではとのこと。品質的にはもちろん問題ありません。
酸化防止剤無添加というと、長持ちしないイメージがあるので「すぐ飲まなくては!」と思われがちですが、マークスさんが自宅にあった2010年ヴィンテージをつい先日飲んでみたところ、全然大丈夫だったそうです。もちろん長期熟成するようには作っていませんが、すぐにダメになってしまうということは無さそうですのでご安心を。
⑥ 【日本未入荷】 フラッパート
フラッパートはシチリアの中でもサンタ・テレザのあるヴィットーリア特有の葡萄。マークスさん曰く、「ピノノワールと比べてもらいたい品種。味わいはクリュボジョレーのよう」。確かに、そのような味わいでした。フラッパートは果皮が薄く栽培が難しいというところもピノノワールと似ています。
この時は常温でテイスティングしましたが、白ワインと同じぐらい冷やして飲むほうが美味しいそうです。シチリアではマグロのステーキと合わせるそうで、魚料理とも合わせやすいとのこと。
今回テイスティングに参加したメンバーの中で一番評判が良かったのがこのワインでした。価格もそんなに高くないので、もしかしたら輸入するかも・・・です。
⑦ チェラスオーロ・デ・ヴィットーリア クラシコ オーガニック
チェラスオーロ・デ・ヴィットーリアは、シチリアで唯一のDOCG。作っている生産者の数は28、うちオーガニックなのは2、そのうち1つはシチリアでしか販売していないそうですので、日本でオーガニックのチェラスオーロ・デ・ヴィットーリアが楽しめるのはサンタ・テレザだけ、ということになります。
品種はフラッパートとネロ・ダヴォラ。フラッパートがエレガントさと繊細さをワインに与え、それをパワーとふくよかさのネロ・ダヴォラがしっかりと支える、という構成になっています。
⑧ 【日本未入荷】 ニヴロ
品種はネロ・ダヴォラ70%とカベルネ・ソーヴィニヨン30%。 別々に収穫し、それぞれ醸造してからブレンドし、古い樽で1年間熟成しています。
ニヴロとは「黒い」という意味。サンタ・テレザノ葡萄畑を管理しているアンジェロさんという方が、このワインを見るといつも「なんて黒いんだ!」と連呼していたことから、黒い(二ヴロ)をそのままワインの名前にしたそうです。
⑨ 【日本未入荷】 アヴルージ
サンタ・テレザの最高級赤ワイン。アヴォラ(AVOLA)村から来た人たち、という名前のワインです。このワインがネロ・ダヴォラ100%、といえば、鋭い方はピンと来たかもしれません。
アヴォラ村は、ネロ・ダヴォラの語源にもなっている村です。アヴォラ村にある黒い葡萄=ネロ(黒)・ダヴォラ。つまり、アヴルージの名には、「ネロ・ダヴォラのことを誰よりも知っている人が作っている」という自負が込められています。
樹齢はサンタ・テレザで最も古い35-40年。凝縮感を出すため、葡萄の樹1本につき1kgに収穫量を制限し、ヘクタールあたりの収穫量は30ヘクトリットル。これは、フランスで言えばグランクリュ並みの収穫量にあたります。
熟成は、トロンセ、アリエ、ヌヴェールなどのフレンチオーク新樽で1年間。肉料理やゴルゴンゾーラソース、野鳥などと合うとのことです。
サンタ・テレザのワインを飲んでいつも感じるのが、どれも味わいがとてもフレッシュだということです。その大きな理由のひとつは、サンタ・テレザの場所にあります。1年を通して晴れの日が多く日照量は豊富ですが、海に近いために海から冷たい風が葡萄畑に吹き込み、そのため過熟せずにフレッシュな葡萄が出来るのだそうです。それが、ワインのフレッシュ感につながっています。
帰り際にマークスさんは、「きれいな写真を見てもらったり、ワインの説明を聞いてもらうのもいいけれど、やっぱり一番良いのは実際に現地に来て、見てもらうこと。歓迎しますよ!」との言葉を残し、帰っていきました。やっぱり、そのワインを知るには現地を見るのが一番、なんですね。(勉強しに行きたいなあ・・・。)