2015/06/19| Category:コノスル Category:出張レポート
2015チリ出張レポート コノスル④ サンタエリザ
コノスル出張レポート、第4回目はコノスルのワイナリーが隣接する「サンタエリザ農園」についてお送りします。
コルチャグア・ヴァレーにあるサンタエリザ農園はコノスル誕生の地で、現在も敷地内にメインのワイナリーやゲストハウスがあります。
1968年にチリで初めてピノ・ノワールが植樹されたのもこの畑で、現在ここから「コノスル シラー レゼルバ」、「コノスル オーガニック カベルネ/カルメネール/シラー」、そして「コノスル オーガニック ピノノワール」が造られています。
約300haあるサンタエリザの畑のうち、1/3ほどがオーガニック認証を受けています。
広大な畑で行われている様々な取り組みを自転車に乗って見て回りました!
チンバロンゴ(霧の多い谷の意味)にあるサンタエリザ農園の朝は濃い霧が立ち込めています。
暖かい日中に対し、朝晩はかなり冷え込むこちらの畑は、葡萄の生育にとても良い環境なのです。
ところが気温が下がりすぎると、霜害が発生してしまう恐れが出てきます。
そこで登場するのがこちらのプロペラ。写真には写っていませんが、足元にあるタンクで発生させた熱を、プロペラを使って畑全体へ広げます。
畑全体の温度を上げ、霜害を防ぐための工夫なのだそうです。
環境への配慮を柱のひとつとしているコノスル。農薬や化学肥料に頼らない葡萄作りを行うこの畑ではたくさんの工夫を見ることができます。
まずはガチョウ。彼らは害虫を食べるという大切な任務を請け負っています。
(葡萄も食べてしまうため、収穫が終わってから次の葡萄の実ができるまでの間に活躍します!)
「ロス・ガンソス(業務店様専用商品)」はこのガチョウたちがモチーフとなっています。
ガチョウが退治してくれるのは、春に出てきた葡萄の新芽を食べてしまう「ブリトー」という小さな虫。
まずはブリトーが樹に登らないよう、油とニンニクを染み込ませた紙を樹の幹に巻きます。
ブリトーは飛べない虫なので、ここから上へは登れずに地面へ降りてきます。
そこへガチョウが登場しブリトーを食べる、というシステムです。
また「赤クモ(ダニ)」というとても小さな虫も、葡萄栽培の天敵のひとつ。
風に乗って葡萄の樹へ付着し、葉脈を噛んで葉を枯らしてしまいます。
その赤クモから葡萄の樹を守るのは畑に放たれた白クモ。葡萄の葉に害を与えることなく、赤クモを食べてくれます。
そして葡萄の樹のまわりには色鮮やかな花がたくさん咲いているのですが…
これは葡萄の花に害を与える「カリフォルニアトリプス」という虫対策。
色に惹きつけられる習性を持つこの虫を誘導するため、色とりどりの花を植えています。
虫を全て駆除するのではなく、葡萄に害を与えないように「コントロール」しているとのこと。
1998年から「総合防除」を導入しているコノスルでは、自然を尊重し、生態系を保持することで持続可能な農法を行っています。
害虫対策以外にもオーガニック農法ならではの取り組みを見ることができました。
葡萄畑の周りにたくさん植わっているこの植物は「ピタ」と言い、葉を細く割いて、若枝を整枝用のワイヤーへ結びつけるのに使われています。
収穫が終わる頃にはピタは枯れて地面に落ち、土に還っていくため回収する必要もありません。
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、ブリトー対策の紙を留めているのもピタです。(数枚前の写真をもう一度見てみてください!)
さらに自転車を進めると、突然畑と畑の間に現れた、たくさんの小さな山…
こちらで行われているのは肥料作り。
ワイン造りに使った葡萄の絞りかすや茎などに微生物を放ち、発酵させることで「コンポスト」を作ります。
完成したコンポストは袋詰めされアンデスの雪解け水を貯めた池に入れられ、「コンポスト・ティー」を作ります。
栄養分がたっぷり溶け込んだ水を、農園全体へ張り巡らされたドリップイリゲーションシステムを使って畑へ送ることにより、土壌に自然な栄養を与えることができます。
さらに漬けていたコンポストも畑へ撒くことで、余すことなく利用しています。
出張レポート②、③、そして今回の④を通して、コノスルが環境に配慮しながらも高品質な葡萄を作っていることを感じていただけたでしょうか。
次回はこちらの農園に隣接するワイナリーをご紹介しますので、お楽しみに!
おまけ。畑の真ん中にはコノスルのシンボル、大きな自転車が…!!
(板倉)