2015/07/01| Category:コノスル Category:出張レポート
2015チリ出張レポート コノスル⑥ イノベーションセンター
チリ出張レポート、ついに最終回です!今回は「リサーチ&イノベーションセンター」についてご紹介します。
マウレ・ヴァレーにあるこちらのセンターは、コノスルの親会社であるコンチャイトロが2014年の終わりに設立したばかりの新しい施設です。
世界中の研究者が集まるこの施設では、価値の高いワインを造り出すことはもちろん、研究結果を公表することで、チリワイン全体を盛り上げていくことを目指しています。
開設したばかりのセンターですが、葡萄の栽培方法からワインの成分まで様々な分野が研究されています。
施設を案内してもらいながら、グループ会社全体で行われている研究やコノスルが行っている研究について話を聞きました。
1,200ヘクタール(文京区とほぼ同じ広さ…)という広大な敷地の中に建てられたこちらのセンター、辺りは見渡す限り葡萄畑が広がっています。
その一角で苗木の栽培研究を行っており、70haのスペースが確保されています。
様々な葉の色が綺麗に並んでいるこちらの畑では、およそ1,000種類の苗木が植わっているとのこと。同じ品種でも台木を変えたり、クローン違いだったり…
こちらでは醸造の研究を行っています。
約250L仕込めるこちらのタンクが60基あり、白ワイン醸造の研究に使用しています。
こちらは赤ワイン用。600~700kgの葡萄を仕込むことができるそうです。
温度管理ができる部屋も隣接していて、ここではマロラクティック発酵や熟成についての実験が行われています。
・マロラクティック発酵時の温度の違いがワインの香りや味わいにどのような影響をもたらすのか
・熟成の温度の違いがどのように香りや味わい、熟成の仕方や進み具合に影響を及ぼすのか
など、様々なデータが収集されています。
別の建物ではワインに含まれる成分を分析、研究しています。
ポリフェノールや鉄分、カルシウムなどの成分や残留農薬も調べることができます。
将来的には分子レベルでの研究を行っていきたいとのことでした。
続いてセンター内の立派な講堂にて、改めて施設と研究の概要をうかがいました。
※センターの概要については、こちらの動画(英語字幕)で紹介されています。
コノスルはソーヴィニヨン・ブランのアロマを最大化する方法や、アロマを生み出す方法についての研究を依頼しているとのこと。研究用のワインはまだ発酵の段階ですが、結果はヴァラエタルレンジのワインに活かされるそうです。
また、こちらのセンターではカベルネ・ソーヴィニヨンの研究に力を入れています。青臭い香りを感じることが多い品種ですが、3分の2の人はこの香りを好まない、ということがわかったそうです(センター調べ)。現在はこの香りを発生させる「メトキシピラジン」という物質を減らすための方法が研究されています。
最後にこちらで研究用に造られたワインのテイスティングを。
左からマスカット・オブ・アレキサンドリア(産地違い)、真ん中のロゼはパイス、右側の赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨン(収穫時期違い)でした。
テイスティングをしながら「産地の違いや収穫時期の違いがどのように香りや味わいに違いをもたらすのか」についての詳しい説明を受け、視察は終了しました。
このような施設を企業が所有している例は少ないようですが、だからこそ「今よりもさらに質の良いワインを造りたい!」という姿勢を強く示していることがわかります。チリワインは日本でもたくさん飲まれていますが、残念ながら「安い」というイメージが強い気がします。今回こちらのセンターを視察したことで、「高品質」というイメージが安さに肩を並べる日も近いのではないか、と楽しみになりました!
6回に分けてお送りしましたチリ出張レポートはいかがでしたか?
イノベーション、品質、環境を柱として掲げているコノスルが、現状に満足することなく挑戦し続けていることを感じていただけたのではないかと思います。
今後ともコノスルをご愛顧いただければ幸いです!!
(板倉)